IT系おじさんのチラシの裏
2018年10月~
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AMD(B450)環境でのRaid構築とBitLockerで暗号化後の速度比較

以前「今PCアップグレードするならRyzen 5 3600がコスパ最高じゃないのって話」で書いたとおり、うちはIntelからAMD(Ryzen5)へ移行し、OSやアプリ等はNVMe SSDへインストールしています。

しかし中には速度は必要としないけれど巨大なデータというのも多く、それらは6TBのHDDへ保管していました。

でも、この6TBのHDD(SeagateのST6000DM003)が最近みょ~~~に遅い!

BitLockerで暗号化しているせいもあると思いますが、シーケンシャルリード/ライトで80~90MB/sしか出ない。ひどいときには40~50MB/sしか出ないことも。

購入時にCrystalDiskMarkで計測した際には150~160MB/sくらいは出ていたハズなのですが、6TB中4TB近くが埋まってきたので速度が低下した可能性もあります。

ただ、大昔のプラッタ1枚のHDDではないのだから、HDDの内周と外周で速度差があるだとかそんなことが影響しているとも考えづらいです。もちろん差はあるのでしょうけれど、150MB/sと40MB/sほどの差があるとは考えづらい。

それよりはこのSeagateのHDDがSMR方式であることが一番の理由と言えそう。キャッシュを使い切ると極端に遅くなるらしいし、40MB/s~90MB/sという大きな速度差がよくわからないタイミングで発生するのもSMRっぽい。

また、HDD暗号化(BitLocker)とSMRの相性も悪そうに思えます。

HDDの暗号化を使う理由

ぼくがHDDを暗号化する理由は絶対に漏洩してはいけない情報を扱うから…というわけでは全然なくて、HDDは消耗品であり、少なくとも3年に1回くらいは買い換えるから、です。

買い替え時に捨てるにしろ、中古の買取に出すにしろ、そのときになってHDDをクリーンナップしなきゃ~とか気を使うのが面倒くさかったんですね。
(フォーマットしただけでは簡単にデータが復元できてしまうため)

だったら普段から暗号化しておいて、気にせずいつでも廃棄できる状況にしよう、と。実際ベンチマークを取ってみて、10%程度しかパフォーマンスは低下しなかった、というのも理由のひとつでした。

また、その際、オープンソースであるTrueCryptやVeraCryptといったソフトと、Windows標準のBitLockerで速度を比較して、ややBitLockerのほうが早かったためBitLockerを導入したという経緯もあります。

ただ、これはHDDが空もしくはかなり空き容量のある状況でのテストだったため、HDDが半分以上使われた状態ではまた状況が変わりそうです。

これについては後述します。

CMR方式の4TB HDDを2台買うことにした

SMR方式のHDDが原因だったとしたらCMRを買うしかないわけですが、そもそもCMRで大容量のHDDがあまりない。ぼくの知る限り5TBくらい。

だったら比較的安価なWestern Digialの4TB HDD (CMR)を2台にしよう、そうしよう、という発想。

■Western Digital HDD 4TB (WD40EZRZ-RT2)
Western Digital HDD 4TB (WD40EZRZ-RT2)

2台買っても15000円くらいとなかなかリーズナブル。(2021年3月時点)

5400rpmと回転数は抑えめなので静音なわりにレビューによるとシーケンシャル180MB/sくらいは出そうな感じ。

これを2台装着してRaid0(ストライピングセット)にすれば理論値360MB/sくらい出るだろうし、8TBのストレージとして認識されるから今まで使っていた6TB HDDの代替として十分でしょう。

WD40EZRZ-RT2単体のベンチマーク

Raidを組む前に単体でのベンチマークを取っておきます。

■WD40EZRZ-RT2のベンチマーク(CrystalDiskMark)
WD40EZRZ-RT2のベンチマーク(CrystalDiskMark)

シーケンシャルリード/ライトともに180MB/s以上出ています。ランダムアクセスについては2MB/s前後。HDDだからこんなもんですよね。

5400rpmでアクセス速度が静かなHDDなわりにずいぶんな速度が出ています。技術の進歩すごい。

Biostar B450GT3でRaidを構成する

Intelだと安価なマザーボード(のチップセット)にはRaid機能が付いていないことが多いのですが、うちのマザーボードBIOSTAR B450GT3で検索してみたらRaidに対応している模様。

というより、B450チップセットなら全部大丈夫なのかな?

HDD買う前に調べとけよって話ですが、マザーでダメだったらRaidカード買うか、外付けのRaid対応HDDケース買えば良いや、と能天気に考えておりました。

なので、HDD 2台装着後、BIOSを起動し、SATA modeをRaidへ変更できたときに「あぁこのマザーボードはRaid対応なんだ」と気がついた次第。

Intelのときはその後PCを再起動すると「Raid BIOSをCTRL+Fで起動できるで~」みたいな英語メッセージが出るのでCTRL+Fを押すだけなのですが、それがAMDでは出ない。

メッセージが出ないだけなのかもな~とまたまた能天気にCTRL+Fを連打するも、なにも起こらない。

う~んう~んとしばらく悩みつつ、ふとRaid BIOS自体が統合されているのでは?とBIOS画面を順番に確認したら、ありました。ありましたよRaidXpert2 Configuration Utilityとやらが。

■RAIDXpert2 Configuration Utility
RAIDXpert2 Configuration Utility

■RAIDXpert2でRaidアレイを作成する
RAIDXpert2でRaidアレイを作成する

最後にRaidを組んだのが何年も前なので、もしかしたらUEFI BIOSになってからはRaid BIOSも統合されているのが当たり前なのかも知れませんね。

つまり、BIOS画面で

  • SATA modeをRaidへ変更
  • 同BIOS画面でRAIDXpert2を使いRaidアレイを構築

というたった2ステップでRaid設定できちゃうっぽい。かんたん!

わしが若かった頃は外付けSCSI HDDアレイにRS232Cポートで端末接続してRaid作成コマンドを打ったもんじゃったがのぉ…楽になったものじゃわい…ホッホッホ、などと無駄な演技をしつつ、4TB HDD 2つを選択して、サクっとRaid0を作りました。

あぁ、もちろん、Windows 10起動後はRaidドライバーのインストールもお忘れなく。

うちのマザーボードBIOSTAR B450GT3と同じ場合は下記URLでRaidドライバーもDLできます。
https://www.biostar.com.tw/app/jp/mb/introduction.php?S_ID=926#download

「Serial ATA RAID」ってヤツね。これ入れておかないとWindows 10のディスク管理画面にRaidディスクが表示されません。

ちなみにその下にある「AMD RAIDXpert Driver」は別に入れても入れなくてもOK。実際に入れてみたけど、Windows上からRaidアレイの構築や削除ができるようになるツールでした。

ぼくは必要なかったのですぐ削除。

WD40EZRZ-RT2のRaid0構成ベンチマーク

WD40EZRZ-RT2 2台でRaid0 使用量0

ディスクは使用量0、つまり空の状態でテストします。

WD40EZRZ-RT2 2台でRaid0 使用量0

シーケンシャルリード369MB/s、ライト348MB/s、ランダムリードライトも3~4MB/sとほぼ理論値どおり倍速になっていますね。

Raid0+BitLockerで暗号化

次にRaidアレイをBitLockerで暗号化後、再度ベンチマークテストをしてみます。

Raid0+BitLockerで暗号化

リードについてはほぼ変わりませんが、シーケンシャルライトがずいぶん落ちました。

おかしいなぁ。昔テストしたときはここまで落ちなかったのだけれど…。

どこの記事だったか忘れましたが、Win7からWin10になった際、BitLockerのパフォーマンスが落ちたという記事を見かけた記憶があるので、そのへんも影響しているのかなぁ。

Raid0+BitLocker+使用量54%

ディスク使用量がちょっと中途半端ですが、実際に使っているデータ(動画ファイルや音楽ファイル)のほうが参考になるだろうと考え、あれこれ詰め込んだら使用量54%になったという感じです。

その状態で再度ベンチマーク。

Raid0+BitLocker+使用量54%

う~~~ん?

シーケンシャルリード283MB/s、ライト171MB/sとずいぶん落ちましたね~。

ランダムリード/ライトも10~20%程度低下しているようです。

これはちょっと意外。

まとめ

  • SMR方式の6TB HDDの速度が40~90MB/sと低下してきたので買い替えを検討
  • CMR方式の4TB HDD×2をRaid0(ストライピング)で使うことに決定
  • B450のRaid構成はBIOS画面1つで完了
  • Raid0構成でのベンチマークでは理論値に近い速度が出た
  • Raid0構成にBitLockerを付けるとライト性能がかなり落ちた
  • Raid0構成+BitLockerで使用量が半分を超えるとリードもライトも大幅に性能低下

といったところでしょうか。

つまり、「SMRが速度低下の主な原因でBitLockerはオマケ程度の速度低下だろう」と予想していたのが逆転してBitLockerが主な原因という可能性が出てきたわけです。

ぼくが何かしら手順を間違えている可能性もあるため、これらの情報を鵜呑みにしてほしくはありませんが、ちょっとBitLockerのパフォーマンスは疑ってかかったほうが良いかも。特にHDDの容量を食った後の速度。

VeraCryptとの速度比較も掲載したかったのですが、4TB分のデータ転送に数十時間かかる状況なので、こうして記事を書いている今もまだコピー中だったりしますw

現在眺めている分には、どうやらBitLockerよりもVeraCryptのほうが早そうだぞ?という気配がしているのですが、これについてはテスト結果が出次第、また別記事にしたいと思います。

追記

RAID環境でBitLockerとVeraCryptの速度比較

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