パーティション分割にEaseUS Partition Masterを使ってみた
最近のPCは高性能ですし、ストレージもSSDやらM.2 SSDのNVMeやらと安価で高速なデバイス※が増えたため、パフォーマンス向上のためにシステムドライブとデータドライブを分割するという考え方自体ほとんどしなくなった気がします。
ただ、システムとデータを別ドライブで管理することでバックアップするデータをわかりやすくしたり、次のような特殊なケースでもパーティションの分割作業は需要があるんですよね。
BitLockerでストレージの一部を暗号化するにはパーティション分割しかない
いくらCPUやストレージが高速化したとはいえ、重い処理は重いです。例えばストレージの暗号化など最たるものではないでしょうか。
ぼくは仕事用のメールデータなどあまり外部に漏れては困るデータはBitLocker(※Windows 10 Proに標準で付いている暗号化機能)で暗号化したストレージに保存しているのですが、USBメモリだと耐久性が不安です。
もうすぐ壊れるよー、みたいな前兆があれば良いのですが、USBメモリは気が付かないうちに一部だけ読み込みエラーなんてこともあるので、やはり大事なデータの保存先としては使いたくない。
かといってシステムドライブ全体をBitLockerで暗号化するとディスクアクセスのパフォーマンスが10%程度低下しますし、ストレージ以外の要因でOSが起動しなくなった際、別のPCへつなげて起動、というのが難しくなります。
いやもちろんできるんですよ。ただ、ハードウェアの構成が変わるとBitLocker回復キーというのを要求されるため面倒くさいんです。16桁のキーを覚えておくか、USBメモリに保存しておく必要があるんですけど、そんなの失くしちゃうじゃないですかw
ということで、システムドライブ全体の暗号化はせず、ストレージのパーティションをシステム用とデータ用に区切って、データ用の部分だけBitLockerで暗号化するのが自分には合っているかな、と。
今回はパーティション管理ソフトのEaseUS Partition Masterを使ってみました。前々からシステムイメージのバックアップ※ではお世話になってますし。
EaseUS Partition Masterのダウンロードとインストール
何はともあれ、まずは上記ページから、EaseUS Partition Masterをダウンロード。
Free版とPro版どっちにする?みたいなことを聞かれますが、単なるパーティション分割ならFree版で良さそうなので左の[ダウンロード]を選びました。
永久無料アップグレードという文言にはかなり惹かれるものがあるんですけどねーw
ダウンロードしたインストーラーを起動。カスタムインストールの項目は言語とインストール先の変更だけみたいなので、そのまま何も変更せずに[今すぐインストールする]をクリック。
Free版とPro版の違いみたいなのが表示されるので[無料版をインストール]をクリック。
Pro版の機能の中ではWinPEポータブルディスクの作成がちょっと気になりますかねー。これたぶんUSBメモリで起動するWinPEを作ってくれる機能だろうから、システムパーティションを復元したいときには便利そうです。
あとはインストール完了までしばらく待ちます。といってもインストーラー自体34MBほどでしたしコンパクトなので一瞬でインストールは終わるでしょう。
インストール完了です。さっそくシステムドライブを分割してデータ領域を作りたいので、[今すぐ始める]をクリックします。
EaseUS Todo Backupでパーティションを分割する
初回起動時のみPro版のアピールが入るようです。一度[後で]を選んだらもう出てこなくなりました。
(一定期間過ぎたらもしかしたらまた出るのかもしれない)
ここでちょっと気になったのが[パーティションのサイズ変更のスピード]。
え、マジで。
エディションによって速度が違うならPro版にするのもやぶさかではない。…が、ひとまずFree版の速度を体験してみないことにはなんともいえないので、このままFree版で進めてみます。
うちのPCの場合、SSD 500GB (465.76GB) にWindows 10が入っているのですが、ディスク0としてちゃんと認識されていますね。
もうひとつの6TB HDD (5.46TB)には別システムが入っているためフォーマットがその他となっていますが、今回は使用しないので無視してください。
今回はWindows 10が入っているCドライブのパーティションを分割してDドライブを作成したいため、ディスク0を選択し、右メニューの[サイズ調整/移動]をクリックします。
するとCドライブのパーティションが表示されますが、回復パーティション※などは無視して、「C:」とドライブレターがふってあるパーティションを選択します。
そしてパーティションのサイズを決めるのですが、ぼくの場合、システムパーティションに大きめの1本30GBや50GBといったサイズのゲームソフトをインストールすることもあるため、システムは大きめの400GB。残りをデータ領域としました。
そろそろ1TBのSSDに買い換えようかなぁ…。
そして最後に[OK]をクリックします。
これで実行されるのかと思いきや、操作のひとつとして記録されるだけで、左上の[1つの操作を実行する]をクリックするまでパーティション分割は実行されないようです。
これはあれですね。パーティションを分割し、結合し、移動する、みたいな複数の操作を毎度実行していては効率悪いので、やりたいことをまとめて一括実行できるってことですね。
先程の[1つの操作を実行する]をクリックすると保留中の操作の一覧(今回はパーティションサイズの変更のみ)が確認画面に表示されるため、問題なければ[適用]をクリックします。
データドライブのパーティション分割だけなら再起動は必要ないのですが、今回はシステムドライブを分割するためPCの再起動が必要となるようです。
[はい]をクリックするとすぐに再起動がはじまります。
はてさて、いったいどれほどの時間がかかることやら…。
あ、そうか、Windows起動前にパーティション分割が実行されるだろうから、スクリーンショットが撮れないなぁー、カメラでPC画面を撮るかー、と思ったのですが…
カメラの用意をしてるわずか10数秒の間に終わってた…
なんだよー、パーティションサイズの変更、ちょっぱやじゃないかー!
…ということで、すみませんがパーティションサイズ変更中の画面はありません。
なんかBIOS画面っぽいのが一瞬出たのだけは見えましたw
BitLocker用パーティションを作る
ここからは余談ですが、せっかくEaseUS Partition Masterでパーティション分割が成功したので、最初の目的であるBitLockerの設定をしてみます。[コンピューターの管理]→[ディスクの管理]で新しく[未割り当て]の領域が作られているため、ここを右クリックし[新しいシンプルボリューム]をクリック。
[新しいシンプル ボリューム ウィザードの開始]が表示されるため、[次へ]をクリック。
ボリュームサイズの指定を促されますが、通常は最大サイズが既に入力されているため、そのまま[次へ]。
ドライブ文字を聞かれるので、今回は「D」を選択し、[次へ]。
パーティションのフォーマットを聞かれますが、デフォルトでNTFSが選ばれているはずなので、これもそのまま[次へ]。
最後に[完了]をクリックすると[未割り当て]だった領域に新しいNTFSパーティションが作成されます。
クイックフォーマットを選んでいればほんの数秒で完了するハズ。
次にBitLockerの設定ですが、これは超絶かんたん。
新しく作成されたDドライブを右クリックして[BitLockerを有効にする]をクリックし、暗号化解除時のパスワードを入力するだけ。
するとこのとおり、ドライブの右に鍵マークが付いてBitLockerの暗号化済ドライブになりました。
これでDドライブに保存したデータは常に暗号化されるし、今まで使っていた暗号化USBメモリよりもずっと耐久性は高いはずなので安心感も高まりました。
まとめ
- システムドライブ全体を暗号化すると何を起動するにも10%程度遅くなる。
- しかしBitLockerはドライブまるごとの暗号化しか対応していない。
- システムドライブをEaseUS Partition Masterでパーティション分割し、2つのドライブにしてみた。
- EaseUS Partition MasterのFree版でもパーティションサイズの変更速度はとても早く、速度面でPro版を選ぶ必要はない気がする。
- 無事パーティション分割が出来たので、新しいドライブをBitLockerで暗号化してみた。
といったところでしょうか。
まぁ暗号化関連は企業では社内のシステム部門が担当しているためあまり触ることはないでしょうし、今回の記事はどちらかというと個人事業(SOHO)などで自分で自分の仕事用PCを管理しなければならない方向けでしょうか。
IT系はフリーランスとして独立しやすい土壌が出来上がってきていますし、それなりに需要あると思うんですけどねー。個人の暗号化ソリューション。
なんにしても、Windows 10 Pro標準のBitLockerではドライブ単位の暗号化しかできないため、暗号化はディスクの一部だけで良いんだけどなぁーという方はパーティション分割による方法も試してみると良いのではないでしょうか。