WindowsのイメージバックアップにEaseUS Todo Backupを使ってみた
robocopyによるファイルのバックアップやGmailのバックアップ等については記事にしてきましたが、システム全体のバックアップについて書いておりませんでしたので、今回はOS標準のイメージバックアップとEaseUS Todo Backupを使ったイメージバックアップについて実例を交えて解説したいと思います。
イメージバックアップとは
その名のとおり、ディスクのイメージをそのまま複製する仕組みで、主にシステム(OSの入ったディスク)のバックアップや、HDDからSSDへ移行する際のディスクのクローニング時に使われます。
そもそも、Windows 8以降からはWindowsの[設定]→[更新とセキュリティ]→[回復]メニューに[このPCを初期状態に戻す]という機能が付いていますし、特にWindows 10 version 1709以降はWindows Updateによる品質更新プログラムの適用状態は残したまま初期化してくれるため、「PCをリフッシュしたい」という用途でのイメージバックアップの需要は減少したと言えます。
PC初期化+いつも使うアプリという需要
Windows 10の機能でPCの初期化は簡単になったものの、初期化後にインストールするお気に入りのアプリってだいたい決まっていないでしょうか。
ぼくの場合はMS OfficeやLibre Office等のオフィス系ソフト、GIMP、InkScape、Paint.Netといったグラフィック操作系ソフト、Kindle PCやKoboデスクトップの電子書籍ソフト、プログラミングで使うNotepad++等々、ある程度最初にインストールするアプリは決まっています。
どうせなら、そういった定番アプリ類もインストールした直後の綺麗なイメージを取っておきたい。そんな需要もあるわけです。
Windows標準のイメージバックアップは非推奨となった
Windows 7の頃からOS標準でディスクのイメージバックアップ機能はありました。
Windows 10 version 1709から非推奨の機能となったため、メニューの奥に追いやられてしまいましたが、今も使おうと思えば使えます。
バックアップと復元の起動方法
Windowsの設定を開いて[更新とセキュリティ]をクリック
左メニューから[バックアップ]を選択し、「[バックアップと復元]に移動 (Windows 7)」をクリック
[システムイメージの作成]画面で保存先を選択することでイメージバックアップが可能です。
…………が、上記スクリーンショットのとおり、標準のイメージバックアップ機能ではUSB接続された外付けのHDDまたはSSDで、かつNTFSフォーマットされたデバイスでないとバックアップ先に選べません。
USBメモリもバックアップ先としては選べません。最近はUSBメモリでも128GBが2000円台、256GBが3000円台で買えますし、バックアップメディアとしても十分使えると思うのですが残念です。
特にUSBメモリはブータブルメディアとして使われることが多く、システム復元時の起動ディスクとしても使えるため、ブータブルUSBメモリにデータもバックアップできればとてもスマートなんですけどねー。
標準のイメージバックアップ機能非推奨の情報源
尚、Windows 10 version 1709 (Fall Creators Update)で標準のイメージバックアップが非推奨になったという情報源はマイクロソフトの公式ページにあります。
他のベンダーからのディスク全体のバックアップ ソリューションの使用をお勧めします。引用元:https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4034825/features-that-are-removed-or-deprecated-in-windows-10-fall-creators-up
EaseUS Todo Backupをインストールしてみる
ということで、ようやく本題ですが、「イメージバックアップしたい場合は他のベンダーのソフトを使ってね」ということなので、フリー版もあるEaseUS Todo Backupをインストールしてみました。
EaseUSのページからEaseUS Todo Backup Free 11.5をダウンロード。
バージョンの説明が出ますが、とりあえず普通のイメージバックアップ機能だけで良いので、そのまま[次へ]。
追加タスク(ショートカットの作成やユーザーエクスペリエンスうんぬん)はお好みで選んで[次へ]。
個人データの保存先を選んで[次へ]。後でいくらでも変更できるので難しく考える必要はありません。
ひとまずこれでEaseUS Todo Backupのインストールは完了。
EaseUS Todo Backupでイメージバックアップしてみる
EaseUS Todo Backupを起動し、青い[システムバックアップ]をクリック。
システム名にWindows 10と入っていて、Cドライブのサイズは464GB、空き容量が143GBとありますが、いろいろゲームとか節操なくインストールしたままなので、300GBくらい使っていたようです。
イメージバックアップのテストにしてもあまり時間かかるのはアレなので、プレイしていないゲームをサクサクっと削除し、使用量を150GBくらいまでダイエットしました。
システムバックアップのオプションを見てみる
圧縮はそのまんまの意味で、「なし」の無圧縮なら使用量の150GBがそのまま必要ですし、圧縮するなら標準→中→高と上げるに従って、バックアップサイズは縮小し、時間は長くなる、という寸法です。どちらを優先するかは要件次第ですね。
分割についてはCDサイズ(650MB)や、DVDサイズ(4.7GB)ごとにファイルを分割して保存してくれる機能。
いまどき光学メディアにバックアップすることは少ないかも知れませんが、FAT32フォーマットのメディアだと1ファイルあたり4GBが上限なので、この分割機能があると便利。(分割サイズは手動でも設定可)
Windowsしか使わない環境ならNTFSが主流でしょうし、そうでなくてもexFATを使うことが多いと思われますが、USBメモリでブータブルメディアを作る際に使われるOSはWindows PEであることが多いです。そしてこれはFAT32なんですよね。
ってことで、ブータブルメディアとデータファイルを一緒のUSBメモリに入れたい!と思った場合はUSBメモリ自体をFAT32でフォーマットし、バックアップデータも4GBごとに分割する必要があるわけです。
こういう一見細かい設定ができるかできないかが標準機能とサードパーティ製ソフトの違いかなって思います。
パスワードを付けて暗号化するだけの機能ですが、あるとないとでは大違い。
先述のとおり、USBメモリなどのコンパクトなデバイスにバックアップできてラッキー!という単純な話では済まず、それはそれだけ持ち出しや、紛失しやすいという意味になります。
OSや普段使っているストレージがいくら暗号化されていても、バックアップ先が暗号化されていなければ片手落ちですよね。
別途暗号化機能を持ったUSBメモリや、VeraCrypt等の暗号化ソフトを使う手もありますが、そうすると今度はブータブルメディア(WinPE)で認識されないため、いったん別のデバイスへコピーするなど、大変面倒な手順が必要となります。
バックアップソフト自体が暗号化をサポートしていればそういった煩わしい作業が必要ないためありがたいです。
これは主にバックアップをスケジュール化(毎日○時に起動等)してバックグラウンドで動作させたいときの設定でしょうね。パフォーマンスの優先度を落として、裏でバックアップ処理を実行させたいときに便利そうです。
逆にパフォーマンス高は使うのかなー。ちょっと謎。
このセクタバイセクタバックアップについてもちょっと謎。たしかセクタエラーが発生していてもほっといてコピーする機能だったかな?
どうしてもイメージバックアップが失敗するときに使う機能かも。
あ、ちなみにぼくはEaseUS Todo Backupを今回使うのがはじめてというわけではありません。Windows 7の頃からちょいちょい使っているのですが、このセクタバイセクタの機能にお世話になったことがないため、よくわからない、というのが本音です。
Free版で設定できるオプションは以上のようなので、特に変更せず、そのままシステムバックアップを実行します。
イメージバックアップの完了
先程のシステムバックアップを実行すると、このホーム画面にプランが作成され、実行中は左から右へプログレスバーが進んでいきます。今回、150GBのバックアップをしたので、およそ20分くらいかかりました。(M2.SSD使用)
左下のメニューから[ログ]を確認できるため、実行ログを見てみます。
17:38にバックアップを開始して、17:58に完了していますね。
C:\My Backupsへバックアップしたので中身を見てみます。
拡張子.pbdで、ファイルサイズ128GBのバックアップファイルが出来上がっていました。バックアップ元は150GBだったので、22GBほど圧縮されたのかな。
劇的とはいえないけど、もうちょいCドライブを整理してからバックアップすれば128GBのUSBメモリにも入りそうなので、圧縮の意義はあるかなと思います。
イメージバックアップを復元(リストア)してみる
システムイメージのバックアップは起動ディスクのバックアップなわけですから、OS起動中に復元できるわけはありません。
が、しかし、メニューから選べるのなら、ちょっと選んでみたいと思うもの。
バックアップの復元先を聞かれるので、1番目のディスクを選択して[実行]。
ですよねー!
途中まで普通に進んだから逆にアセっちゃったよ。
復元元と復元先が同じ状態でリストアできたらどんなスーパー技術なのかと驚きます。
ではあらためて、バックアップファイル(先述した拡張子.pbdのファイル)を別のディスクへ移動します。HDDだとコピーだけで40分くらいかかりそうだったので、USB3.0で繋げたSSDのディスクへコピーしました。(128GBのファイルコピーに7分程度)
先程のホーム画面へ戻り、右上の[参照して復元]をクリックします。
Dドライブ(USB-SSD)へ置いた「システムバックアップ_20190521_Full_v1.pbd」を選択して、[OK]をクリック。
このとき、まだブータブルディスクを作成していない場合は作成画面に飛ばされます。
ぼくはUSBメモリで既に作成済みだったので、[はい]をクリックした後はそのままOSの再起動&USBメモリでの起動となりました。
以降はUSBメモリで起動したWindows PEでの画面になるためスクリーンショットはありませんが、完全にハンズフリーでリストアが実行されます。画面を見ても、ただただ残り時間とプログレスバーを眺める作業となります。
リストアにかかった時間は約43分。バックアップ時に20分だったので、同じくらいかと思いましたが、ほらバックアップ時は3500MB/sを誇るM.2 SSDでのバックアップだったので、普通のSSDになった分遅くなったのかな、と。
つまり、500MB/sくらいのSSDの場合はバックアップにも40分くらいかかったのだろうと思います。
ついでに言っておくと、OS標準機能でのバックアップは150GBで15分くらい(SSD to SSD)なので、EaseUSのバックアップ速度はけっこう遅いですね。
起動画面に表示されてましたが、Free版よりも有料版のほうがバックアップ速度が早いらしいので、そのあたり、差別化されているのかも知れません。
まとめ
- Windows 10 version 1709以降、標準のイメージバックアップは非推奨となった。
- 非推奨でもOS標準のイメージバックアップは使用可能だが、USBメモリに非対応、NTFS以外のディスクへのバックアップも非対応、ファイルの分割にも非対応、ということで機能面に少々不満が残る。
- EaseUS Todo BackupではUSBメモリやNTFS以外のディスクへのバックアップも対応しており、ファイル分割も可能で、圧縮にも対応している。
- 但し、バックアップ時に圧縮を有効にしたせいか、OS標準のバックアップと比べると速度がけっこう遅かった。
といったところでしょうか。
今までOS標準のイメージバックアップはMS謹製ということで安心感がありましたが、1709で「非推奨」指定されてしまったため、それもちょっと微妙になってしまいました。
USBメモリ、FAT32やexFATへの対応、ファイル分割、圧縮機能などを考えるとサードパーティ製のイメージバックアップも検討の余地ありかなと思います。
あと今回は紹介できませんでしたが、EaseUS Todo BackupのFree版でもシステムクローンやパーテションクローン機能が使えるため、HDDの買い替え、あるいはHDDからSSDへの載せ替え、いや今だったらSSDからM.2 SSDへの需要が多いかな? ともかく、そういったディスククローンの用途としても便利じゃないかなって思います。