Oculus Questを1ヶ月以上使ってみた率直な感想
昨年、サムスンのOdyssey+※をポチった直後は引っ越しや何やかんやであまり本腰を入れてVRゲームをする時間もなく、主に360度見渡せるVR動画を見たり、Google Earth VRで世界中を見て回ったりして、スゲェー!これだけでも元取れるわー!(なにしろ$299)と感動しておりました。
しかし、あらためてBeat Saberを購入し、本格的にVRゲームを遊び始めるとWindows MRのトラッキング性能の悪さが目立ってきました。
Odyssey+でBeatSaberをプレイした動画
HDDを漁ったらOdyssey+でBeatSaberをプレイしたときのゲーム録画が残っていたので一応掲載します。
BeatSaberは2020年3月10日に買ったのですが、その数日後に録った動画ですね。
MODを入れてカスタムアバターを入れたり、三人称視点にして録画テストしていた頃です。
今見るとこんな遅いノーツ(前方から飛んでくる青と赤の物体)に緊張しながらライトセーバーふっている姿が微笑ましく見えますが、当時はこのステージ23をクリアするのも必死でしたw
そんな運動神経もリズム感もない40代のおじさんでも1ヶ月もプレイしているとExpertレベルでSランク取るのが当たり前になるくらい自然と上達するのだから、このゲームのバランスは素晴らしい。
ただ、Odyssey+はインサイドアウト方式※のため、腕を頭の上、または真横あたりから振ったときにライトセイバーの位置が突然飛ぶことがあります。トラッキングを意識して撮った動画ではないのでわかりづらいかもですが、プレイしている本人としてはハッキリわかるレベルで自分の腕が一瞬消え、そして現れる現象が発生します。
いまのノーツ斬れてたのにーっ!という体験が多くなると、MRではこれが限界なのか…と自分の腕を棚に上げてMR機のせいにしだしますw(体験談)
また、こちらはもっとハッキリとわかりやすいデメリットとしてコントローラーが重くて太いので持ちづらいです。
以前Odyssey+をレビューした際にも書きましたが、ほかのMR機と比べてひとまわり以上コントローラーが大きいんですよねー。
そんなわけで…
Oculus Questをポチってしまった
お値段6まんえん…。Odyssey+の倍です。
ホントは5万円くらいで買えるOculus Quest 64GB版が欲しかったのですが、入荷が1ヶ月以上先と書かれていたので、まぁ単体で動くVRヘッドセットだし、映画とかストレージに入れてごろ寝映画館、なんて楽しみ方も良いだろう…と自分で自分を説得してポチってしまったのです。
Oculus Questの梱包
ででん。
ポチったのがたぶん夜中だったので翌々日に到着でございます。
Odyssey+のときはもうちょっとばかしスカスカだった気がしますが、けっこうみっちり詰まっている感じですね。アレか。頭を留めるバンドが柔らかい材質なので平坦に出来るからか。
中に入っていたのは、
- Oculus Quest 本体
- Oculus Touch コントローラー×2
- コントローラー用の単三電池×2
- USB充電ケーブル(規格はUSB2.0らしい)
- USB-ACアダプタ
- ぺらぺらな取扱説明書
Oculus QuestとOdyssey+の大きさ比較
左がOculus Questで、右がOdyssey+です。
全体的にOdyssey+のほうがゴツいでしょ。
でもね、装着感はOdyssey+のほうが上です。
ヘッドセットの装着感は「おでこ」と「後頭部」のあたりを見ればだいたい想像が付くと思いますが、Odyssey+はおでこのパッドが十分に広く、後頭部にもふかふかのクッションが付き、さらにはダイヤルでキリキリ、と締め付け調整も出来ます。
それから、コントローラーについてはOculus Questのほうがふたまわりほど小さく、電池も1本なので軽く、非常に快適。
また、Odyssey+はヘッドホン付きなのですが、Oculus Questにはヘッドホンは付いていません。但し、ヘッドセットにスピーカーが内蔵されているため、音質にこだわりがなければそのままでも楽しめます。低音はスカスカですが音の広がりはヘッドホン以上です。…スピーカーですからねw
当然、周囲に音はダダ漏れですw VRchat等では相手の声がスピーカーから出て自分のマイクを通して相手に戻ってしまうくらい。
Oculus Questのセットアップは恐ろしいほど簡単
Oculus QuestはPC不要で単体で動作するVRですから、中にCPU積んでるんですね。OSはAndroidを独自にカスタマイズしたものだったはず。後日試しましたが、自作のAPKファイルもインストールできたしw
とはいえ、VRヘッドセットをかぶったままWifiのセットアップするのとか大変なので、スマホを使ってセットアップする仕組みです。
QRコードが入っているので、スマホで読み取り、Oculusアプリをダウンロード。指示どおりにちょちょいと操作するだけでセットアップ完了です。
Odyssey+のときにも語りましたが、VRのセットアップにおいてはWindows MRが最強だと思っていました。なにしろWindows10にはMR Portalがはじめから入っているわけで、HDMIとUSBケーブルを繋げるだけでセットアップウィザードが起動するんですから。
だがしかし。Oculus QuestはWindows MRの上を行く簡単さですね。え、もう終わり?と正直呆気にとられました。
スマホにアプリをダウンロードしたり、Oculus Questとペアリングする操作は想定内だったのですが、その後のルームスケールのセットアップが超簡単なの。
Windows MRだとヘッドセットを手に持ったまま部屋を移動してVRエリアを指定して回るのですが、Oculusではそんな必要なし。
まずね、起動した瞬間に床を認識するの。これがどれだけすごいことかわかるでしょうか。
カメラに写しているだけなのに、プログラムが、床を、認識する。画像認識技術の進歩はよく耳にしますが、民間で、誰でも手に入れられる端末で、この精度。
床を認識しているので、あとはコントローラーのボタンを押して床に線を引くだけです。
とても面白いので動画を撮ろうと思ったのだけれど、Oculus Quest単体ではルームスケールのセットアップ画面のスクリーンショットすら撮れなかったので断念。
たぶん「Oculus ガーディアンシステム」あたりで画像検索すれば出てくると思うので興味がある方はどうぞ。
VRヘッドセットをかぶった状態でリアルの部屋の中が映し出され、そこにコントローラーで境界線をペイントするだけです。いやーこの仕組みほんとすごいわ。
Oculus Questを1ヶ月ちょい使ってみた感想
いつもなら、このまま届いたばかりのOculus Questでレビューをするところですが、Questの録画機能がけっこう貧弱で、ゲームによってはなぜか音声が入らなかったり、音ズレしたり、あれこれ試しているうちに面倒になって、もうずっとBeatSaberばかりプレイしていたら1ヶ月以上経ってしまいましたw
というわけで、ざっくりと感想を。
- ◎PCいらずで単体動作し、スピーカーもマイクも内蔵しているため手軽。
- ◎ガーディアンシステムというVR空間を設定する仕組みがあり、そこから出ると自動的に外の映像に切り替わるためヘッドセットをかぶったまま複数の部屋のVR空間を渡り歩いたりも出来る。いろんな部屋でVRやりたい、という場合には最適。
- ◎Oculus Linkという、PCとUSB-Cケーブルで接続する仕組みによりPCパワーを使ったSteamVRゲームも動作する。
- ◎ストアアプリのVirtualDesktopまたはオープンソースのALVRを使い、SteamVRのゲームをワイヤレスでプレイすることも可能。
- △但し、Oculus Linkより更に遅く、約0.3秒の遅延があるためアクションゲームは難しい。VRの映像作品やスピードを要求されないVRchatなどでは問題なし。
- △バッテリーの保ちは2~3時間。
- △バッテリーの分重く、頬骨に重量がかかるため長時間の装着は辛い。
- △CPUはスマホ並なので動くゲームもスマホゲー並。
(BeatSaber、VRChat等、有名アプリもあるが機能は少し制限される) - △視野角は100度と狭いため双眼鏡を覗き込んでいる感はある。
- △SDE(液晶のドットが格子状に見える現象)もはっきりと認識できるレベル
Odyssey+と比べると
映像:Odyssey+ >> (超えられない壁) >> Quest
トラッキング性能と手軽さ: Quest >> (超えられない壁) >> Odyssey+
Oculus Questはこんな人向け
- PCないけどVRはじめてみたい人
- PCあるけどどうしてもワイヤレスでVRしたい人
- 友人の家などに持ち運びVRの布教活動をしたい人
Oculus Questはこんな人には向かない
- 既にゲーミングPCを持っており、SkyrimVR等のAAA級ゲームを中心にプレイしたい。
- VRchatを制限なく楽しみたい。
- ゲームのプレイ動画を録画したり、配信したりしたい。
あらためて書くまでもない気もしましたが、Amazonのレビュー汚染と言いましょうか、なにやら信者っぽいレビューが上のほうに表示されており、「Oculus Linkの登場でOculus Rift Sの存在価値はない。Questだけで良い。」みたいな評価があがっているので、強調させて頂きますが、QuestでOculus Link※が使えるからといってRift Sの上位互換ということはないです。
Oculus Linkの注意点
- USB3.0対応のUSB-Cケーブルが必要。
- 安価で売られているUSB-CケーブルはUSB2.0であることも多いので注意。
- USB3.0は規格上、ケーブルの最大長が3mしかない。
- Oculusで売っているUSB-Cケーブルは特別で5mあるが1万円以上する。
- 画像を圧縮転送するため周辺解像度が甘い。
- BeatSaber等、そこそこ動きが速い場面ではカクつくことがある。
- VRchatの重いワールドで落ちることもけっこうある。
Oculus Link使うなら↓このAnkerのUSB3.0ケーブル買っておけば間違いないです。
公式で推奨されていますし、ぼくもこのケーブルでOculus Linkしています。
まとめ
Oculus Questの手軽さ、特にケーブルがないことの開放感やOculus Touch(コントローラー)の使いやすさは素晴らしいのだけれど、有機EL液晶とはいえペンタイル式のため、かなーりSDEは気になるし、視野角100度も狭く感じます。
更にいえば、Quest専用のBeatSaberでは対応MODが限られており、カスタム曲自体は楽しめるものの、カスタム曲用のスコアランキングに登録できなかったり、アバターを入れた三人称視点での録画が出来なかったりと、一部不便なところもあります。
そのため、せっかくQuest版のBeatSaberも追加で買ってキャンペーンクリアまでしたのですが、結局PC版のBeatSaberを起動して、Oculus Link (USB) で繋いでプレイ録画とかしている始末。
ということで、VRゲームのプレイ動画を録画してあとで見返したい、とか、あるいは配信して誰かに見てもらいたい、という気持ちがあるのであればQuestではなく、PCと繋げるOculus Rift Sあたりを検討したほうが良いでしょう。Rift Sのほうが更にトラッキング性能も視野角も上です。
トラッキング性能とかどうでもいい、映像が綺麗なほうがいい、というなら、Odyssey+も全然アリです。
以上、思ったよりも長くなってしまいましたが、Oculus Questを1ヶ月ちょい使ってみた率直な感想でした。