PS4で5.1chサラウンドを聴くためには光デジタルが必須
先日、SENNHEISER HD598SRを買った知り合いから、今度はMixAmpでPS4のサラウンド化をするなんて話を聞いたばかりなのですが、そんな中、Sound BlasterX G6が新発売されました。なんというグッドタイミング。
PS4のサラウンド化は前提知識がないとけっこうややこしいので、今日はちょっとそのあたりについて。
PS4で5.1ch/7.1chサラウンドを聴く方法は3つ
- Sony純正のワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15007)を使う
- PS4のHDMI出力からHDMI対応&サラウンド対応のアンプやスピーカーシステムに出力
- PS4の光デジタル出力端子からDolbyやDTSをデコードできるアンプに出力する
PS4でまともなサラウンドを楽しむにはこの3種類の方法しかありません。
PS4対応サラウンドヘッドホン!と銘打った商品が山のように販売されていますが、Sony純正以外のサラウンドヘッドホンは2chステレオの音場を広げて擬似的にサラウンド風味にしているだけで、ゲームで必要とされる音の方向性などはまったくわかりません。むしろステレオよりわかりづらくなるほどなので注意が必要です。
というのも、PS4は原則としてUSB Audioに対して2chのステレオ出力しか出来ません。例外は最初に書いたSony純正のCUHJ-15007だけ。
じゃあ、PS4対応って書いてあるゲーミングヘッドセットとはいったい…?と思いますよね。こういうのとか。
このG533とか、ちゃんと7.1chのDolbyやDTSのデコードには対応しているんですよ。事実、PCにUSB接続してドライバーを入れて使えば、ちゃんと7.1chサラウンドヘッドホンになります。
でも、PS4のUSBは2chしか出力しないのでダメ。いくらヘッドホン側が対応していてもどうしようもありません。
それができるのはSony純正のヘッドホンだけなんですね。なんでやねん、って思いますが、実際そうなのだから仕方がない。
バーチャルサラウンドというふわっとした表現
サラウンドヘッドホンのほとんどは仮想的にサラウンドを表現しています。本来7つのスピーカーが必要なところを右耳と左耳の2スピーカーで音場を表現するんですから、そりゃバーチャルですよね。
ほとんど、と書いたのは、極一部にリアルで片方3個ずつ計6個のドライバーを積んだリアルサラウンドヘッドホンなるものが存在したりするからです。ちなみにぼくも持っていましたが、音の定位は素晴らしいものの、音質がひどすぎてすぐに手放してしまいました。
さて、それはともかく、問題は2chの入力をバーチャルサラウンドにするのと5.1ch/7.1chの入力をバーチャルサラウンドにするのでは話が違うでしょ、ってこと。
ステレオ音源の音場を無理やり広げただけでもバーチャルサラウンドはバーチャルサラウンドなんですよ。だから、USB端子どころか、ステレオミニプラグしか付いてないくせに「PS4対応サラウンドヘッドホン!」なんて恥ずかしげもなくPRするエセサラウンドヘッドホンなんかが山ほど出てきちゃう。
5.1chや7.1chの入力ソースを仮想化してこそのバーチャルサラウンドでしょうが…。と思いますが、まぁこのバーチャルサラウンドという用語自体がふわっとしたものなので仕方ない…。
HDMI対応のアンプやサラウンドシステムはハードルが高い
単純にお値段が高いというのもありますが、4Kの普及がちょっと困りモノ。
HDMIに対応していて、5.1chにも対応していて、更にヘッドホン端子につなげればお好きなヘッドホンがバーチャルサラウンド化!みたいなアンプも数は少ないものの実在したハズ。でも、けっこう古い製品なので、4K映像に対応していなかったりします。
HDMIって映像も音声もセットに出力してくれるのは便利で良いのですが、こういうときに困りますよね。
PS4→アンプ→スピーカー&テレビ(or PCモニター)
とつながるわけですから、アンプ側も4Kに対応していないと4Kテレビには映像が出力されないわけです。
4Kだけじゃないですよ。最近増えてきた32"や31.5"のPCモニターもWQHD(2560x1440px)だったりするので、フルHDしか通さないアンプとか買ってしまうとせっかく音声はサラウンド化したのに映像がフルHDに…となります。
フルHDでも映像が映ればマシなほうで、エラーで映らないこともありますからね。
実際ぼくはそれでせっかく買ったHDMI対応アンプを手放したことがあります。
そういう映像問題を回避するためにARCという技術があると思っていたのですが、PS4→(HDMI)→テレビ→(ARC)→アンプと繋げた場合、なぜか5.1chソースが2ch化するんですよ…。わけわからない… ぼくはもうHDMIでがんばることに疲れたよ…。
PS4の光デジタル端子からならDolbyやDTSが出力できる
光デジタル出力の場合、転送速度の関係でマルチチャンネルの非圧縮転送は出来ないのですが、圧縮されたDolbyやDTSなら出力できます。
(DolbyやDTSというのは圧縮信号の規格のことなんですよ)
なので、この光デジタル出力から従来の5.1chサラウンドスピーカーに繋げるなり、光デジタル対応のヘッドホンなりを使えば良いわけです。
でも、光デジタル対応のバーチャルサラウンドヘッドホンって一昔前は流行っていたので量販店でも大々的に広告してましたけど、最近は下火な気がしますね。
ぼくもこのATH-DWL5500を使っていたことがありますが、
- スピーカーとヘッドホンの両方を使いたい場合、光デジタル端子の切替器が必要
- ワイヤレスなので無音時のホワイトノイズ(サーという音)が気になる
- 音の定位はしっかりしているものの、音質はそれほど良くない
ということで手放してしまいました。有線ヘッドホンにすればノイズの問題と音質の問題は解決すると思うんですけどねぇ。ワイヤレスという付加価値がないと売れ行きが良くないのかも知れません。
DolbyやDTSをデコードできるヘッドホンアンプがある
以前、「開放型ヘッドホンならAKG K702がコスパ高いと思う」の記事でも紹介しましたが、昔はJVCからSU-DH1という光デジタルのDolbyやDTS信号をデコードして、手持ちのヘッドホンにサラウンド音声を出力できる素敵なアンプがありました。
ぼくはこのSU-DH1を大変気に入って長年使っていたのですが、経年劣化で電源プラグがちゃんと繋がらなくなってしまい、泣く泣く手放しました。Amazonの購入履歴によると2009年10月に8,275円で買っていますね。
もう手に入らないためか、現在のAmazonではSU-DH1がプレミア価格で2万円を超えていますが、こんな古い機種を今更買うのはもったいないでしょう。
今買うとしたら、MixAmp ProかCreative Sound BlasterX G6のどちらかじゃないかな。
なお、我が家にはMixAmp ProもCreative Sound BlasterX G5もあります。
そう… G5なのですよ… 間違ってもPS4のサラウンド化のためにG5は買っちゃダメですよ…。
Sound BlasterX G5はPS4をサラウンド化できない
型番を見ればわかると思いますが、Sound BlasterX G5は先述したG6の前の機種です。
USB端子と光デジタル入力の両方に対応しており、PCでサウンドの設定(イコライザとかスカウトモードとか)をすると内部に記憶してくれて、そのPC以外に接続した際にも設定が反映されるというのです。素敵じゃないですか。
だって、PS4ゲームもPCゲームも両方好きっ!という人なら、1つのモニターにPCとPS4を繋げていたりしますよね?
2chステレオなら、PS4&PC → HDMI → PCモニター → ステレオミニプラグ → スピーカー というつなぎ方が出来ます。
しかし、サラウンド化したいとなると途端に難しくなる。
PCはUSBでアンプに繋げてドライバーを入れれば良いものの、PS4は光デジタル端子からしかサラウンド出力ができない。
となると
- PCからもPS4からも光デジタル出力をして、光デジタル切替器を使ってアンプに繋げる
- USBと光デジタル入力の両方を持つアンプに繋げる
どちらかの方法しかありません。光デジタルは圧縮信号しか送れないし、せっかくUSBで非圧縮7.1chが出力できるなら、PC側はUSBにしたい…。
そんなわけで、USBと光デジタル端子を備えるSound BlasterX G5に飛びついた、というわけです。
と・こ・ろ・が、Sound BlasterX G5の光デジタル端子は2chステレオしか受け付けないのです。
いやー、まいったわー、その可能性は考えてなかったわー。
Sound BlasterX G5の製品ページをちゃんと見ればわかるのですが、どこにもDolbyやDTSの文字がない。そう、光デジタル入力端子からの圧縮信号のデコードには対応していないのです。
というわけで、現在、我が家のSound BlasterX G5は物置の置物になっています。
Sound BlasterX G6はDolby対応!
ここでようやくこの話なわけですが、G5の後継であるSound BlasterX G6はDolbyに対応したのですよ。ようやくか!って感じもしますが、ほらちゃんと製品ページもDolby Digialデコードに対応と書いてあります。
https://jp.creative.com/p/amplifiers/sound-blasterx-g6
PS4でサラウンドヘッドホンを使うといえば長らく「純正ヘッドホンを使う」か「MixAMP+お好きな開放型ヘッドホン」というのが定番でした。
ここへきて、ようやく、本当にようやく第三の選択肢が登場したと言えそうです。
個人的にはCreativeのバーチャルサラウンド技術には一目置いていて、昔からPCではUSB接続のCreative Sound Blasterを愛用していました。
最近はガチでFPSをプレイすることも少なくなったため、使い勝手優先でサラウンドはやめちゃいましたけどね。G6で手軽にPS4とPCの両方を接続できるなら、もう一度考えてみようかなぁ、と思い始めています。
まとめ
PS4をサラウンド化するには
- Sony純正のワイヤレスサラウンドヘッドセット(CUHJ-15007)
- HDMI対応&サラウンド対応のスピーカーシステム
- 光デジタル対応のMixAMP
この3種類のいずれかを使うしかなかったものの、MixAMPの対抗となれそうなSound BlasterX G6が登場!
さてさて、人柱になってくれる人いないかなぁ(チラッ
2019/5/1追記:
MixAmpとほぼ同じことができるGameDACが2018年11月に発売されていました(日本での発売はもうちょい後だったかな?)。こちらは13,083円(2019年5月1日時点)と少し安いですね。