15万円ほどでコンパクトなRTX4070ゲーミングPCを組んでみた
以前、「Xboxくらいの性能でそこそこ小さくそこそこ静かなPCが欲しくなったので検討中」と題した記事を投稿しました。
2022年5月ですから1年以上前です。Xbox Series Sを買ったのを機に、あの小ささと静かさで最新ゲームが遊べるのかと感動し、逆に同等スペックでPCを組みたくなったんですね。Game Pass Ultimate入ってるから、XboxでもPCでも同じゲームできるし。
そして翌月には記事で検討していたグラボ、RX6600を購入し、「RTX2060とRX6600の消費電力・温度・ファン回転数による騒音の比較」という記事を投稿しています。
このままマザーボードやCPU、特にPCケースを小型化してコンパクトなゲーミングPCを組み上げよう、とも考えたのですが、夏を目前に控えていて発熱がちょっと怖くなりました。
過去にキューブ型で小型なゲーミングPCを5~6台ほど組んだ経験があるのですが、そのうち1台は真夏に電源から煙を吹いてあわや火事ということがありましたし、別の1台は長時間プレイしていると強制再起動かかるようになってしまい、パーツ全とっかえしたという過去もあります。まぁ後者については熱問題ではなくSSDの問題だったのですが。参考記事:Windowsでブルースクリーンが多発する場合はSSDも疑おう
ともあれ、PCケースを超コンパクトなキューブ型にするのか、妥協してミニタワーくらいにするのか、はたまた間をとって最近流行りのSAMA IM01やGALAX Revolution-03のようなミニタワーの背を更に低くしたコンパクトケースにするのか、なかなかコレダ!と決められません。
特に後者のケースは悩ましいんですよねぇ。300mmまでのグラボが入る!すげえ!と思っても、それはSFX電源を積んだときの話であって、ATX電源搭載可能と書かれていても実は奥行き160mmまでのATX電源じゃないと配線が困難だったり。どうせSFX電源使うならキューブ型で良くね?いやでもキューブ型だとCPUクーラーの性能を妥協しないとか…などと調べれば調べるほど面倒くさくなってしまい、とうとう1年も経ってしまいました。
新作ゲーム発売の勢いでPCアップグレードを決めた
ぐだぐだ悩んでいても仕方ないので、2023年9月6日発売のベゼスタの大作、Starfieldの発売に間に合わせよう!と決め、パーツを買いそろえました。このゲーム、推奨スペックがなかなかヘヴィでして、グラボはRTX2080やRX 6800 XT以上推奨となっているんです。
今回選んだパーツ構成
※価格は2023年9月の購入時カテゴリ | メーカー | 商品名 | 金額 |
---|---|---|---|
CPU | Intel | Core i3 12100F | 13,600 |
マザーボード | ASUS | Pro-B760M-C-CSM | 12,980 |
メモリ | G.SKILL | F5-6000J3636F16GX2-FX5 | 14,408 |
ストレージ | SPD | SP700-2TNGH | 12,980 |
グラフィック | GIGABYTE | GV-N4070WF3OC-12GD | 84,792 |
CPUクーラー | DEEPCOOL | AK400 R-AK400-BKNNMN-G-1 | 2,995 |
PCケース | COUGAR | Purity RGB CGR-5PC4W-RGB | 5,980 |
ケースファン | Thermalright | TL-C12C | 2,798 |
合計 | 150,533 |
電源(RM550x)以外、全とっかえです。
CPUは悩みました。すごく悩みました。最初はCore i5 13500か13600あたりにする予定だったんですよ。
でも冷静に考えてCPUをそんなに使うか?という考えに至ります。
もちろんある一定以上の処理速度がないとブラウザやメール、オフィス関連のソフトを使うだけでももっさりします。しかし現在使っているIntel第10世代 Core i5 10400 でもその程度の処理は軽々とこなします。
にも関わらず、Core i5 13500で37,730円、13600で44,980円。いやいや、さすがに高くね?
毎日写真の現像をする仕事だとか、動画のソフトウェアエンコードが日課だというなら話は別ですが、自分はそこまで頻繁にそんな作業しないし、動画に至ってはGPUパワーを使うのでCPUほとんど関係ありません。
かといって、現在のIntel第10世代CPUを残留する選択肢もありません。なぜならDDR5メモリを使いたいから。これもほとんど体感できないらしいのですが、各検証記事を参考にするとZIP等の圧縮/展開処理には目に見える効果があるのと、ゲームでも数%程度のFPS向上が見込まれるらしい。GPUが高価な昨今、大幅に安くなったDDR5メモリで性能の底上げができるのはコスパ良いのでは、と感じたのです。
というわけで、現在のCPUと比べて全体的にほんのり性能がアップし、かつ大幅に省電力化された Core i3 12100f を購入することにしました。第13世代のCore i3 13100fにしなかったのは中身ほとんど同じでクロックを上げただけのモデルなのに5,000円以上高いから。12100fならお値段なんとたったの13,600円。3万円以上浮いたので、その分でGPUを良いモノにします。RTX 4070、おねだん84,792えん…。
GPUに8万円とかwwwゲームは見た目より内容のほうが大事だよ、マイクラ見ればわかるでしょ!3DでもフルHDで十分だから2060、3060シリーズくらいで十分なんだよwwwと知った風な口を聞いていたぼくですが、すみません、4070…ちょー良いです…。
これについて語りだすと1記事書けちゃうので詳細は端折りますが、昨今流行りのAIイラスト系でもGeForce一択ですし、そうでなくても動画のハードウェアエンコードでAV1形式に対応したので今までやっていた動画エンコードが10倍から20倍の速度になりました。とんでもない効率化です。もちろんゲーマーなので、ゲームでも活躍。今まではフルHDで十分だよ、と言っていたゲームをWQHD(2560x1440px)でぬるぬる動かせました。本来こっちがメインなんでしょうけど、そこの感動は少なくて、やっぱり動画のH/Wエンコードが目を見張るほどの速度になって、これがもう、ほんと気持ちいいですね。
ミニタワーケース Purity RGB CGR-5PC4W-RGB
GPUをRadeon RX6600からGeFordce RTX4070へ変更したこともあり、結局、PCケースはミニタワーにしました。
前に使っていたSilencio S400を残留すればええやん、という気もしたのですが、PCケース変わらないとPC新調した!って感じしなくない?あと真っ白なPCケースってのを使ってみたかった。
サイズは箱に記載のとおり、200x392x360mm。約28.2リットルですね。
Silencio S400が210x408x418mm(約35.8リットル)だったので、ひとまわり小さい感じ。幅で10mm、高さで16mm、奥行きに至っては58mmも小さくなりました。
…最初に目指していたXbox Series S並みのコンパクトさからはかけ離れましたが… なんといってもこのケース安いんですよ!5980円。前のが12000円くらいしたので、半額ですよ半額。
組み立てる
久しぶりということもあり、1から組み立てるの面倒だなぁ、という思いもあったのですが、実際やりはじめるとあっという間なんですよね。30分くらいだったかな?
自作PCなんて呼ばれるけれど、これのどこが自作なんだろう、って昔から思ってます。決められた場所にパーツを挿すだけの作業なんだもの。プラモよりずっと簡単。
マザーボードのCPUソケット横のレバーを上げる
ASUS Pro B760M-CはIntel第12/13世代(LGA1700)対応かつDDR5メモリ対応の中で最安値ということで選びましたがちょっと後悔しています。BIOSが古臭いんですよねー。 いまどきGUIじゃないBIOSって数年ぶりに見たかも。
CPUソケットにCPUを置いてレバーを下げる
古いCPUや、AMD製のCPUはCPUピンが出ているため、折らないように気を付ける必要があり、ここが一番気をつかう場面でしたが、今のIntel CPUはピンがないので何も気にしなくて大丈夫。置くだけ。
マザーボードの裏にCPUクーラーのバックプレートを付ける
CPU付属の純正CPUクーラーを使うなら必要ない作業ですが、今回はAK400という定番のサイドフロー型クーラーを買ったので、支えるためにバックプレートを付ける必要があります。ちなみにCPUだけを冷やす目的なら純正で全然問題ないです。ただ、CPU/GPUを筆頭に、高速なDDR5メモリ、爆速なNVMe SSD等、発熱するパーツが色々あるので、ミニタワーのような狭い筐体の場合、サイドフロー型のクーラーでしっかり廃熱したほうが良いかな、と。
M/B前面にCPUクーラーの台座とメモリを付ける
これ、ソケットによって形状違うの何とかならんのですかね? Intelの場合、2世代ごとくらいにソケット形状が変わるので、そのたびにCPUに加えてクーラーまで買い換えなきゃならんくてコスパ悪いっす。
台座の右横に見えているのがメモリです。今回はG.SkillのF5-6000J3636F16GX2-FX5を選びました。通常のDDR5が4800MHzで駆動するところ、設定次第で6000MHzまで上げられるオーバークロックメモリです。4800MHzのほうが安いですが、32GB(16GBx2)で3,000円くらいしか差がなかったのでコレにしました。検証動画で見て、4800MHzと6000MHzだとゲームでもFPSに明確な差が出ていたので、興味あったんですよね。
32GBにしたのはあんまり特別な意味はないです。16Bでもメモリ不足になったことないけど、容量余るなら余るでRAMディスク化しても良いかなと思って32GBにしておきました。
CPUグリスは別途買う必要なし
最近のCPUクーラーは普通写真のとおりグリスが塗られた状態なので別途自分で塗る必要すらなくなりました。
昔はCPUグリスを買うのが当たり前だったし、ぼくもちょっと前までは既に塗られているグリスを剥がしてまで性能の良いグリスにしてましたけど、そこまで爆熱のCPU使うことなくなったのでもうこれで良いです。
実際計測するとグリスを変えるだけで3~4度ほどCPUの発熱が抑えられたりするので効果はちゃんとあるんですけどね。40度が36度になったから何?って感じもありますし、どうせ2~3年ごとにPC買い換えるのでそこまでこだわらなくて良いかなと。
CPUクーラーを装着
CPUクーラーを装着し、ファンをまわすための電源コネクタにもケーブルを装着。
それにしてもサイドフロー型はでかい。
見てのとおり、CPUクーラーとメモリはちょー近いので、先にメモリを挿しておいたほうが楽です。
SSDも先に付けておけば良かったと後悔しながら装着
NVMe SSDがはじめてってわけでもなく、もう4枚目くらいなのですが、毎回装着に苦労してます。
CPUクーラーに近い場所にM.2スロットあることが多いんですよねー。
このマザーはM.2スロット2基あるのでこのように挿しやすい場所もあるのですが、OSやアプリ用に2TB、データ保管用に4TBの2つ買ったので両スロット埋まっています。
今回選んだのはSPDのSP700-2TNGH(2TB)とSP700-4TNGH(4TB)。楽天にSPDの公式ショップが出店していて、2TBのほうが12,980円、4TBのほうが25,980円だったかな。
NVMe SSDというだけならもっと安いのもあるのだけれど、Read 7450MB/s Write 6700MB/sというちょっぱやのSSDではSPDが最安値だったのでコレにしました。
500MB/sを超えるとほとんど体感できないというし、実際使ってみたところ普段使いやゲームにおいても「ほんのりロードが早くなったかな?」程度でしたが、SSDからSSDへのデータコピーがあっという間でバックアップが快適になったのと、(DDR5メモリの影響も大きそうだけれど)数GB単位の圧縮ファイルの圧縮/解凍がパパッと終わるので、やっぱ早いストレージは正義だなと感じました。
ちなみに2か月ほど使った後、CrystalDiskMarkで測った値がこちら。
公称値にはやや及ばないものの、Read 6821MB/s Write 6639MB/sなんてめちゃめちゃ早いですよね。
ただ、BitLocker&NTFS圧縮使うとちょっと計測が安定しない感じ。最初はほとんど速度の低下がないけれど、暗号化ディスクの容量が圧迫されるにつれ遅くなって、Read 4376MB/s Write 1074MB/sなんて数値が出ちゃう。
計測するたびにバラバラなので、この数値はアテにしないほうが良いかも。CrystalDiskMarkやWindowsのバージョン、残りのディスク容量などで違ってきそう。
ディスク丸ごと暗号化&NTFS圧縮した状態で、並のSSDより早いんだから十分ですけどね。
書き込みの落ち込みがすごいので、NTFS圧縮してないBitLockerではどうなのか、別の暗号化ソフト、例えばVeraCryptではどうなのか、とかも気になるところ。機会があればテストしてみたい。
マザーボードをPCケースに入れて配線
ここが唯一にして一番面倒くさいポイントですよね。
まずはマザーボードに電源ケーブル2本。なんで2つ別々に挿すのよ、ってぼくも思いますが、ひとつはマザーボード用のATXメインコネクタ、もうひとつはCPU用のATX 12Vコネクタです。そーいう規格なのだから仕方ない。
そしてフロントパネル用のUSBコネクタ、オーディオコネクタ、ケースファンのコネクタ
ここまでは基盤上にも「USB」とか「AUDIO」とか書かれているし、そもそもコネクタの形状がそれ専用で、別のところへ挿しようがないので簡単。
何度やっても慣れないのが、写真右下のフロントパネルコネクタ。
電源ボタン、リセットボタン、ストレージのLEDなどに使われるコネクタなんだけれど、これが小さくて小さくて老眼じゃ見えん!
また、自作初心者の場合、説明書を見てもどっちが+(プラス)でどっちが-(マイナス)かわからなくて混乱する人もいそうです。
ストレージLEDのコネクタなどがそうですが、2本分まとまっていて+側に△マークが付いてるんですね。それを知らないとここで悩むことになります。
PCケースに入れてからだと高難易度過ぎるので、マザーボードを固定する前にフロントパネルコネクタは挿しておいたほうが良いでしょう。
ATX電源を装着
少し悩んだのですが、今回ATX電源は新調しませんでした。このCorsair RM550x、とても静かで気に入っている電源なんです。
名称のとおり、550W電源なので、RTX4070が推奨する650Wにはちょっと足りないのですが、80PLUS Goldだし問題なかろう、と考えました。
実際、組み上げた後に計測しましたが、ベンチ中でもワットチェッカーで最大290W程度の消費電力でした。
最大消費電力の2倍程度のATX電源を積むことを推奨されている記事が多いですが、電源の品質が上がった昨今、それはちょっと大げさだと思うんですよねー。
電源効率の面でいえば電源ユニットの持つ最大能力の半分くらいで使うのがもっとも効率が良いと言われています。
それはそのとおりですが、ずっと300Wで動作させるの?っていう話。なにか特殊な仕事をしているなら別ですが、普通そんなわけないですよね。
アイドル時は30~35W程度ですし、ネット閲覧、動画再生、ブログ執筆等々の作業中も50Wも消費してないです。それなのに650W電源? いらんでしょ。
550Wの80PLUS GOLD電源の場合、規格で変換効率が保証されていて、負荷率50%時の変換効率がもっとも高く90%(≒495W)、負荷率100%または20%のときで変換効率87%(≒478W)です。
しかしこのPCは超高負荷のベンチマークソフト稼働中でも300Wに満たない程度。実際の3Dゲーム中の計測では220Wも消費していませんでした。というわけで、今回は550W 80PLUS GOLDでも十分、という判断です。
最後にGPUを挿して完成
RTX4070(12GB)って2.5スロット占有なのね。今まで2スロットタイプのミドルクラスGPUしか使ってこなかったので、分厚くてびっくりしちゃった。
これより安いGPUもあったのだけれど、今回は3連ファンにこだわりました。ファンが多いほうが1つあたりの回転速度を抑えられるので静かなんですよね。
実際、ゲーム中でも高負荷になるまではGPUファンの音ぜんぜん聞こえてきません。やっぱ3連ファンのGPUは良いな。
そういえば光るPCケースだった
電飾に興味がなかったので組み上げるまで忘れていましたが、フロントパネルにRGBスイッチがあったので押してみました。
ピカー!
うちのマザーボードはARGBに対応していませんが、PCケースのRGBボタンだけでプリセットされた色から選べる仕組みになっていました。ボタンを押すたびに赤、青、紫、レインボーと色が変わり、光り方も常時点灯、点滅、ナイトライダー、などなどなかなかバリエーション豊かです。
使わんけども。
尚、付属のリア120mmファンも写真のとおり光りますが、これPWM対応してないのですぐに外しました。1100rpm程度なので気にしない人は気にしないと思いますが、個人的には1000rpm超えると風切り音がちょっと気になるほうです。できれば800rpm以下に抑えてほしいところ。
まとめ
15万円も出すならショップブランドの安めのゲーミングPC買うよー、という人も多そうな気もするけれど、ん~~~、やはりお店もある程度利益出さないとやってられないので、RTX4070積んでるわ~、案外やすいじゃ~ん、と一瞬思っても良く見ると微妙にSSDの性能が低かったり、メモリが少なかったり、そもそもショップブランドのPCケースがダサかったり、特別PC自作にコダワリあるわけじゃないけれど、結局毎回パーツから組み上げてます。上述のとおり、作業時間は30分~長くても1時間程度なので組み立て家具買うような感覚。
そんなわけで、今回もPCアップグレードしたよー!パーツはこんなの選んだよー!だけの記事のつもりでしたが、なぜか微妙に組み立て方法の解説までしてますね…。なんとなく撮影しながら組み立てたせいか。
読み返すと雑なところ多くて恥ずかしいですが、せっかく書いたのでとりあえずこのままアップしちゃいまーす。万が一、どこかの誰かのお役に立てば幸いです。